K-FOODコラム

7. 冷麺の美味しい季節が冬って本当?

 

07、冷麺の美味しい季節が冬って本当?

 

 

冬になるとワクワクします。

 

あるいはちょっとソワソワもします。

冬は僕の大好きな冷麺がいちばん美味しい季節。

いちばん好きな韓国料理を尋ねられて、

 

「冷麺!」

 

と即答する僕にとって、

冬は何よりも待ち望んだ季節なのです。

 

不思議な顔をしないでくださいね。

 

我慢大会でも、偏屈な訳でもなんでもなく、

韓国では昔から、冷麺は冬の料理と決まっています。

朝鮮時代に書かれた『東国歳時記』という本にも、

冷麺は旧暦11月の料理として紹介されているぐらい。

 

旧暦の11月といえば、2013年の場合だと、

123日から、1231日までが該当。

 

まさしく今こそが冷麺のハイシーズンなのです。

 

冬とはいえ室内はオンドル(床暖房)がありますし、

空気が乾燥するので、冷たいスープは何よりのご馳走。

そもそも冷たい料理というのは冷蔵庫がない時代、

寒い冬にしか作れなかったのは当たり前のことです。

 

寒々しい顔をせず、ぜひ1度試してみてください。

 

キンキンに冷えたスープをひとすすりすると、

口の中に広がるのはキリッとした牛のうま味。

店によっては、水キムチなどで酸味も加えますが、

個人的には酸味よりうま味の勝ったスープが好きですね。

 

喉から食道を通って、冷たいスープが滑り落ち、

思わず背筋が伸びるような気分を味わえます。

 

間髪入れず手繰り込んだ麺からは蕎麦粉の香り。

 

そうそう、新蕎麦が出るのも秋ですよね。

夏は端境期なので、やはり寒い時期の料理といえます。

 

 

 

とはいえ、蕎麦粉を使わない冷麺もあります。

 

蕎麦粉を使った冷麺は平壌(ピョンヤン)式と呼ばれ、

もうひとつの咸興(ハムン)式はでんぷんが主体の麺。

サツマイモやジャガイモ、トウモロコシなどを原料として、

細くてコシの強い麺を作るのが特徴です。

 

なお、平壌と同じく、咸興も北朝鮮に位置する町。

もともと冷麺は北の寒い地域で食べた地方料理です。

 

咸興冷麺はスープを使わずに薬味ダレと絡めて味わい、

カレイなどの刺身を載せて食べることも多いですね。

 

一口に冷麺といっても、だいぶ地域差があります。

 

 

 

こちらは南部の晋州(チンジュ)という町の郷土料理。

 

煮干し、ムール貝、干しダラなどからとったスープに、

蕎麦粉とサツマイモのでんぷんで作った麺を入れるのが特徴。

細切りにした牛肉のチヂミを具に載せるのも珍しいですね。

 

「北の平壌冷麺、南の晋州冷麺」

 

とも並び称される、南部代表の冷麺です。

 

 

 

あるいは南部の釜山にはこんな名物も。

小麦粉麺を使ったミルミョンと呼ばれる冷麺です。

 

もともとは蕎麦粉の入手しにくい釜山で、

代用食として作られたものが、そのまま定着。

現在は釜山を代表する郷土料理のひとつになりました。

 

小麦粉麺ということで食べてみるとどこか、

冷やしラーメンにも似た風味を感じるのが特徴。

日本人にとっても馴染みやすい冷麺です。

 

 

 

最後はちょっとヒネって盛岡冷麺。

 

わんこそば、じゃじゃ麺と並ぶ盛岡名物ですが、

こちらもルーツは朝鮮半島にあります。

 

上でも紹介した冷麺の本場、咸興出身の方が、

故郷の味を再現しようと、盛岡で始めたのがきっかけとか。

最初は慣れない味に、評判もよくなかったそうですが、

日本人の舌に合わせて、どんどん改良が進みました。

 

イメージとしては平壌冷麺と咸興冷麺の中間ぐらい。

 

少し太目の小麦粉麺を牛ベースのスープに入れ、

薬味ダレのかわりにキムチを載せるのが特徴です。

 

ひと口に冷麺といっても本当にいろいろ。

 

韓国でも地方に行けば、まだまだ個性的な冷麺がたくさん。

夏の暑い時期に涼味を求めるだけでなく、

ぜひ幅広い魅力を探求していただければと思います。

 

まずは冬の冷麺から! ぜひ!

 

 

<次回のテーマ>

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