K-FOODコラム

10. 韓国人が愛する中華料理の姿

10、韓国人が愛する中華料理の姿

 

 

まだちょっと気の早い話ではあるのですが、

来月4月はチャジャンミョン(ジャージャー麺)の月です。

韓国好きな方にはもうだいぶ有名ですよね。

 

414日はブラックデー。

 

バレンタインデーにも、ホワイトデーにも縁のなかった、

寂しい男女が集まってチャジャンミョンを食べる日です。

凝る人たちであれば洋服やアクセサリーも黒で統一し、

チャジャンミョンを食べた後にはブラックコーヒーを飲むほど。

 

一面、真っ黒けという陰鬱なイベントであるが、

それを機に付き合い始めるカップルもあるそうです。

 

さて、そんなチャジャンミョンの本場といえば、

中国から最初に伝わったとされる仁川(インチョン)でしょう。

仁川駅前には韓国最大のチャイナタウンが広がっており、

なんとチャジャンミョン博物館まであったりします。

 

「韓国の地方に出かけてまで中華料理?」

 

と思うかもしれませんが、

いえいえ、地方のほうが中華料理も面白いのです。

隠れた郷土料理というか、B級グルメというか。

 

 

こちらも韓国式中華料理の代表格であるチャンポン。

 

日本で食べるチャンポンは白いスープが普通ですが、

韓国では好みに合わせ、真っ赤なスープに変化しました。

チャジャンミョンと同じく全国的に食べられる料理ですが、

数年前から韓国のインターネット上では……。

 

「韓国5大チャンポン!」

という単語が話題となっています。

 

ある人気ブロガーさんが独自に選定をしたものですが、

予想外に大きな反響を得て、グルメファンたちに浸透。

韓国全土を巡って食べ歩く人が増えたそうです。

 

・迎賓楼(京畿道平沢市)

・ポクソンヌ(全羅北道群山市)

・トンヘウォン(大田広域市)

・チヌン飯店(大邱広域市)

・校洞飯店(江原道江陵市)

 

という5ヶ所が認定されており、

写真はいちばん上の迎賓楼で食べたもの。

残りの4ヶ所も、いつか制覇してみたいですね。

 

 

さて、地域の話をするならこんな料理も。

 

黒味噌にとろみをつけないチャジャンミョンで、

メニュー上ではカンチャジャンと呼び分けられます。

麺を別盛りにするというのもひとつの特徴ですが、

注目していただきたいのは、目玉焼きですね。

 

一説によると卵が高価だった時代の名残だそうですが、

不思議なことに南部の地方都市でしか見ません。

いちばん確実なのは釜山(プサン)でしょうか。

 

黄身のまろやかな味わいが黒味噌と絡み、

よりいっそうの濃厚さを楽しむことができるトッピング。

釜山で中華料理店に行くときは試してみてください。

 

 

独創性でいえば大邱(テグ)もかなりのものです。

 

この料理は大邱の中華料理店における定番ですが、

それ以外の地域では、まず見かけないというレアな一品。

名前もちょっと驚きなのですが、

 

「ヤキウドン!」

 

といいます。

いえ、日本語ではありません、韓国語でヤキウドン。

店のメニューにもハングルでヤキウドンと書かれています。

それでいて日本の焼きうどんとは、まったく無関係です。

 

 

ね、ウソじゃないでしょ。

 

ハングルが読める人限定の証拠ではありますが、

中和飯店という店名のすぐ下に……。

 

「元祖ヤキウドン」

 

と書かれております。

 

実はこの料理、上記の「中和飯店」という店で、

1970年代に開発されたオリジナルのメニュー。

韓国式チャンポンから汁気を抜いて、炒め料理とすることで、

大邱の人たちが好きな激辛仕立てにしたものです。

 

それがヤキウドンという名前になった背景には……。

 

・焼き餃子を「ヤキ」マンドゥ(餃子)と呼ぶ

・白いスープの海鮮麺を「ウドン」と称する

 

という不思議な中華料理店用語があります。

語源は定かではありませんが、これらが組み合わさって、

大邱生まれの新しい中華料理ヤキウドンが誕生。

評判を得て、いつしか大邱全域に広まったそうです。

 

こうした不思議なエピソードに出合えるのも、

地方料理を食べ歩く楽しみのひとつといえるでしょう。

長い年月を経て、コリアナイズされた中華料理の姿。

そこには申し分ないほどの韓国らしさが詰まっています。

 

<次回のテーマ>

11回:春の訪れとワタリガニの旬

45月はワタリガニが産卵を迎える時期。卵を抱えたメスを薬味醤油に漬け込んで味わう。

 

←一覧へ戻る