K-FOODコラム

3. 学んで美味しい韓国料理の歴史!

03、学んで美味しい韓国料理の歴史!

 

 

韓国の宮中料理に辛いものは少ない。

 

そんな話を聞いたことはありませんか。

韓国料理といえば、唐辛子をたくさん使った、

真っ赤で辛い料理というのが典型的なイメージ。

 

にもかかわらず、韓国料理の頂点というべき、

宮中料理ではほとんど唐辛子を使うことがありません。

むしろ素材の味や色を活かした上品なものばかり。

 

これはいったいどういうことなのでしょう。

 

 

その理由を探るには、まず唐辛子の歴史から、

さかのぼって調べていく必要があります。

 

唐辛子の原産地は中南米というのが定説。

 

これをコロンブスがヨーロッパに持ち帰り、

大航海時代の波に乗ってアジアまでやってきました。

朝鮮半島に渡ったのは15世紀末頃との説が有力で、

文献上は1614年に書かれた「芝峰類説」に初登場します。

 

これを見ると、

 

・南蛮椒(唐辛子)には大毒がある

・日本から伝わったので俗に倭芥子と呼ぶ

・居酒屋などで焼酎に混ぜて出す

・これを飲んで亡くなった人もいる

 

とけっこうすごい内容が書かれていたりします。

 

どうやらこの時期に朝鮮半島へ伝わったものの、

その猛烈な辛さから、食用でなく毒として認識されてしまった。

そのため伝来後、すぐには普及が進まなかったようです。

 

 

では、実際に食用として使われ始めたのはいつか。

 

これまた朝鮮時代の文献をひもといていくと、

まず1670年頃に書かれた「飲食知味方」という本が参考になります。

これは当時の両班(貴族)家庭におけるレシピ集ですが、

全体をじっくり読んでも、唐辛子がまったく登場しません。

 

栽培や、料理に使われた記録は18世紀に入ってから。

 

1715年に書かれた「山林経済」という本を見ると、

唐辛子の栽培に関する農業的な記録が残っています。

また、1766年にこれを加筆した「増補山林経済」には、

唐辛子を使ったキムチや、チゲ、コチュジャンが出てきます。

 

となると、朝鮮半島における唐辛子の普及は、

まあおそらく、17世紀後半から、18世紀の中頃にかけて。

このあたりで広まったのだろうと推測できます。

 

 

さて、また宮中料理のほうに話を戻しましょう。

 

現在の韓国で宮中料理と呼ばれているものは、

高麗時代、朝鮮時代の宮中で食べられていた料理を指します。

時代を確認すると……。

 

・高麗時代(9181392年)

・朝鮮時代(13921910年)

 ※1897年より大韓帝国

 

こんな感じ。

唐辛子の伝来と普及は朝鮮時代の中後期に当たり、

この時点で宮中料理は一定の完成した形式を持っていました。

 

唐辛子の歴史よりも、宮中料理のほうが歴史は古い!

 

というのが宮中料理に唐辛子が多用されない理由。

一応、朝鮮時代後期には唐辛子も普及したので、

まったく使われていない訳ではないんですけどね。

赤く、辛い料理が少ないのにはこういった背景があります。

 

 

なお、唐辛子が朝鮮半島で普及した理由は諸説あり、

 

・胡椒や山椒の代用品として使われた

・寒い冬に身体を温めるのに最適だった

・鬼神を遠ざける魔除けの役割を期待した

 

といったものがよく語られます。

最後にある魔除けの役割などは現代にも生きており、

醤油や味噌の甕には唐辛子を入れる習慣があります。

 

虫よけや雑菌の繁殖を防ぐ意味合いがあるのですが、

こうしたトラブルはかつて鬼神の仕業と考えられていました。

悪い鬼神がとりつくからこそ、ものが傷んだり、人が病気になる。

それを防ぐ意味で、刺激物の唐辛子を使用したようです。

 

辛いものなら鬼神も嫌がって逃げるだろうとの理屈ですね。

 

そんな生活の知恵も絡んで唐辛子は普及が進み、

現代では欠かすことのできない香辛料となりました。

 

唐辛子が伝える、韓国料理の歴史。

昔の人たちの暮らしぶりも見えてきます。

 

 

<次回のテーマ>

4回:ご先祖様に感謝を込める松葉餅

旧暦815日(2013年は919日)は秋夕。みんなでソンピョン(松葉餅)を作ります。

 

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