K-FOODコラム

17. キムチにも不可欠な天日塩の魅力




ふとした興味から調べてみたのですが、

日本は6852の島から成り立っているそうです。



まさに島国ですが、そもそも本土からして島ですので、

ここには北海道、本州、四国、九州、沖縄本島も含みます。

なので一般的に離島と呼ばれるのは6847島。



都道府県別に見ると、いちばん島が多いのは長崎県で、

五島列島など、全部で971の島を有しています。

2位は鹿児島県で605島。3位北海道は508島。



といった感じで日本の話を振っておくと、

韓国でいちばん島の多い全羅南道の新安(シナン)郡に、



「1004島!」



あるとするとスゴイ! ってなりますかね。

韓国の地理に詳しい方であれば木浦(モッポ)沖、

と書けばだいたいの位置がつかめるでしょうか。



競争ではないので多ければいい訳ではありませんが、

4ケタの大台に乗る島嶼地域が韓国の西海岸にあります。

韓国全土における島の数を合わせても3153島なので、

およそ3分の1が新安にあるということになりますね。



郡では1004という数字の発音が「天使」と共通するため、

天使の島というイメージで広くPRをしています。






実際、とっても景色のいいところなんですよ。



どこへ行ってものんびりとした田舎の風景ですし、

ふと海に目をやれば、青い海の向こうに折り重なる島々。

いくつか有名な島をあげてみると、



スローシティに指定された曽島(チュンド)や、

金大中元大統領の出身地である荷衣島(ハイド)。

ガンギエイの産地として有名な黒山島(フクサンド)。



「韓国人が必ず行かねばならない観光地」



の栄えある1位に選ばれた紅島(ホンド)など。

韓国人も憧れる魅惑の島が揃っています。



そんな新安のある西海岸は干満の差が大きいため、

引き潮のときは、どどーっと広大な干潟が顔を出します。

上の写真は曽島の干潟にかかったムツゴロウ橋。






橋の上から干潟を見るとこんな感じですが、

真ん中あたりに小さなムツゴロウがいるの見えますか?

カニだらけの中で、ぴたぴたと身体をくねらせており、

そのかわいらしさに思わず見とれてしまいます。



しっかり食用でもあったりするんですけどね。



チャントゥンオタンという鍋料理が一般的ですが、

下煮をした後、すりつぶすのでその姿は見えません。

ムツゴロウのうま味から気配を楽しむ料理です。






そんな干潟におけるもうひとつの恵みが天日塩。



新安の島々には各地に塩田があって、

良質の天日塩をたくさん生産しています。

生産量は実に全国の7割を占めるほど。



海から引き込んだ水はいくつもの塩田を移動させつつ、

ゆっくり20~25日間かけて水分を蒸発させます。

塩分濃度が22%程度まで高まると塩は結晶化しますが、

それを指して、



「ソグミ オンダ(塩が来る)」



と表現するのはなんとも詩的と言えましょう。

干潟の恵みをいっぱい吸い込んだ新安の天日塩は、

ミネラルを豊富に含んだたいへん上等なものです。






ぺろっと舐めても柔らかく広がりのある味わい。

新安の天日塩は、地域の誇りであるとともに、

また韓国料理を根底から支える存在でもあります。



その象徴ともいえるのがキムチ。



11中旬~12月上旬は越冬用のキムチを大量に漬ける、

キムジャンの季節ですが、そこでも天日塩が活躍します。



キムチを作る最初の工程は野菜を塩漬けにすること。



ここでしっかり味の基本を作ってこそ、

ヤンニョム(薬味ダレ)が美味しく馴染むのです。

むしろ韓国には良質の塩があるからキムチが美味しいとも。



韓国でキムチを漬ける光景を見かけたら、

ぜひ作っている人に聞いてみてください。



「どこの塩を使っているんですか?」



高確率で新安の天日塩が使われているはずです。

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