K-FOODコラム

4. ご先祖様に感謝を込める松葉餅

04、ご先祖様に感謝を込める松葉餅

 

 

先日、スーパーへ買い物に出かけたところ、

お米コーナーに、

 

「新米」

 

という表示が出ているのに気付きました。

そういえばカレンダーももう9月。

 

「もう、そんな時期なんだなぁ……」

 

と思った直後、

 

「げ、もうそんな時期か!」

 

と慌てるハメになりました。

日々、韓国料理のコラムを書いていると、

ほぼ条件反射的に、

 

「新米」=「秋夕(チュソク)」=「ソンピョン」

 

という図式が頭の中で成り立つのです。

食の話題はなにより季節に敏感であらねばなりません。

記事としては、ちょっとギリギリになりましたが、

ソンピョンの話題をお届けしたいと思います。

 

なお、冒頭の写真は全羅北道の任実(イムシル)で撮ったもの。

 

ソンピョンは直結するものではありませんが、

新米のイメージとして掲載してみました。

 

 

さて、そのソンピョンがコチラ。

 

ひと口大に作られた、伝統的なお餅のことです。

 

漢字では「松餅」と書いて、松葉餅とも訳しますね。

お皿にも松葉が敷いてあるのがわかるでしょうか。

 

細く先のとがった松葉は、邪鬼を祓う効果があるとされ、

殺菌効果を期待できるとともに、清涼な香りをまとわせます。

 

もち米ではなく、米粉で生地を作り、

中には豆、ゴマ、栗などのあんを入れます。

形は半月型が基本ですが、最近は貝や葉っぱの形を模したりも。

 

「ソンピョンを美しく作れると美しい娘を産める」

 

なんていう、言い伝えもあるそうです。

 

 

こんな感じで、蒸すときに松葉を入れるんですね。

 

このソンピョンは、その年にとれた新米で作り、

ご先祖様に感謝をしつつ、墓前に捧げるのが秋夕の習わし。

秋夕とは、旧暦の815日にご先祖様をおまつりする日のことで、

その前後3日間は連休となって、多くの人が実家へ帰省します。

 

今年2013年の場合は、919日が秋夕当日。

 

もし、この前後に韓国旅行を計画されている人がいたら、

お休みの店も多いので、くれぐれもご注意くださいね。

お目当ての店が臨時休業ということも少なくありません。

 

 

こちらの写真はカムジャソンピョン。

 

カムジャというのはジャガイモのことで、

米粉ではなく、ジャガイモのでんぷんで作ったものです。

ジャガイモの主産地である江原道(カンウォンド)の、

郷土料理としても有名なソンピョンですね。

 

でんぷんなので、蒸したときの仕上がりが透明になり、

中の具がほんのり透けてみえるのが特徴的ですね。

つるんとした食感が持ち味のソンピョンです。

 

ほかにも、ドングリのでんぷんで作ったものや、

ヨモギ、カラムシの葉などを練り込んだもの、

カボチャを使ったものなど、地方ごとに種類も多彩。

 

韓国の市場には、お餅の専門店もありますので、

散策ついでにのぞいてみるのも面白いでしょう。

 

 

最後は秋夕に食べるまた別の定番料理。

 

韓国語でトランクッ、またはトランタンと呼ぶ料理です。

タンも、クッもスープという意味ですが、共通するトランは、

主材料を示す単語で、漢字では「土卵」と書きます。

 

この「土卵」とはいったい何でしょう?

 

どうですか?

想像してみてください。

 

……。

……。

……。

 

はい、答えは「里芋」。

里芋のことを韓国語ではトラン(土卵)と呼びます。

そのスープというのが、トランクッ。

 

ちょうど秋夕の時期が里芋の旬でもあり、

消化を助けるので、ご馳走の並ぶ秋夕にはぴったりとも。

無病長寿の象徴と語る人もいるぐらいです。

 

日本だと旧暦815日は中秋の名月に当たりますが、

月見団子とともに里芋も供え物のひとつにあげられます。

 

日本と韓国で違った過ごし方をしながらも、

象徴的な食材が共通するのは、やはり距離の近さでしょうか。

 

 

<次回のテーマ>

5回:新米を使ってマッコリヌーボー

ボジョレーだけがヌーボーじゃない。新米を使ったマッコリヌーボーを飲んでください。

 

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