K-FOODコラム

16. マツタケをたらふく食べに韓国へ




秋の贅沢ことマツタケ。



スーパーの店頭でちらりと見かけはするものの、

実際、手に取ることは極めて稀です(よね)。

増して飲食店で注文するような勇気はありません。



マツタケごはん。土瓶蒸し。ホイル焼き。



あるいは炭火でさっと炙って、醤油をたらして、

スダチをキュッとひと絞り、なんてのもたまりません。

天ぷらでも旨いですし、すき焼きに入れたりしても。



そんな贅沢、してみたいですよねぇ……。



なんて、さんざん妄想をかきたてた後でなんですが、

ワタクシここ数年、秋になると韓国でマツタケ三昧です。

前々回のアワビに続いて、石つぶてが飛んできそうですが

、 それも仕事、ハイ役得、ありがたい身分ですよね。

まあ、日本で食べるよりはいくらかお安いかと。



とってもお安い訳でなく、あくまでもいくらかですけどね。

日本に入ってくる輸入物を見ても想像できるかと思いますが、

韓国産マツタケは他国産よりもいい値段がついています。



品質が国産に近く、距離的にも鮮度を保てるのがその理由。

もちろん現地で食べればより美味しく味わえます。






韓国での産地は主に東側の内陸部。



・江原道の襄陽(ヤンヤン)

・慶尚北道の奉化(ポンファ)、青松(チョンソン)

・慶尚南道の昌寧(チャンニョン)



といった地域でこれまで食べてきましたが、

その周辺も含めて、季節になればけっこうとれます。

ハイシーズンは9月下旬から10月中旬ぐらいまで。

地域や年によっては10月下旬ぐらいまではあります。



この時期のマツタケを「センソンイ」と呼びますが、

センというのが「生」、ソンイが「マツタケ」。

生マツタケのある時期はそれを珍重し、



「生で食べようじゃないか!」



となるのが韓国式。

薄くスライスした生マツタケを、塩&ゴマ油のタレで食べます。

ゴマ油だとマツタケの香りが飛んでしまいそうにも思えますが、

鮮度のよいものだと、これが意外と負けないんですね。






そのほか代表的な食べ方を紹介しますと、

こちら奉化で食べたソンイバッ(マツタケごはん)。

釜炊きごはんの上に、スライスした生マツタケが、

どっさり覆うように盛り付けられています。



お店の方から教えていただいた食べ方は、

まず1~2枚をゴマ油のタレで味わった後……。






残りを野菜、山菜のナムルとともにピビムパッに。



コチュジャン味に塗りつぶしてしまうともったいないので、

量は控えめを心がけながら、全体をよくかき混ぜます。

マツタケを粉々にしないよう、注意しながら上品にそっと。



しかるのち、おもむろにスプーンを口に運ぶのですが、

おほほほほほほ、マツタケの香りがふんわりほわーんと。

これだけ香りの印象的なピビムパッも、まあ他にはなかろうかと。

そして、食べ進んでいくうちに気が付くのですよ。



マツタケの香りが、マツタケからだけ出ているのでなく、

蒸らす過程でしっかりごはんにも染み込んでいると。

むしろ、ごはんのほうがいい仕事をしているのではないかと。



いやはや米のうまいピビムパッは本当に食が進みます。






なお、個人的な韓国のマツタケ料理ベストワンは、

昌寧で食べられるソンイタックッ(マツタケと鶏肉の鍋)。

火旺山(ファワンサン)一帯でとれる上質のマツタケを、

ぶつ切りにした鶏肉と一緒に煮込んだ料理です。



味付けはきっぱりと潔く塩だけ。それもごく薄め。



マツタケもキノコだけあっていいダシが出るんですよ。

それが鶏肉のスープと合わさって……。



「汁が旨い、汁が!」



と叫ばずにはいられないほどの絶なる美味。



秋の短い旬を目掛けて、山奥の村まで足を運んで、

決して安くはない金額を払ってと、ハードルは高いですが、

それでも後悔はさせない珠玉の逸品です。



ふと気付けばそろそろシーズンも終わりかけ。

今すぐ行くか、来年までじっくり準備を整えるか。

ため息をつきながら考えてみてください。

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