K-FOODコラム

14. 韓国アワビが身近になった理由




こういう書き方をすると嫌味かもしれませんが、

ここ数年、韓国でアワビを食べる機会が増えています。

ええ、アワビといえば言わずと知れた高級食材。



「八田のヤロウ、贅沢しやがって!」




と石つぶてが飛んでくるかもしれませんが、

それを食べるのもお仕事なのでご容赦を。

というか、言いたいことはそういうことではないんですよ。




むしろ、お伝えしたいのは韓国における生産量の話。

韓国でのアワビ生産量は年々上がってきているのです。




例えば、日韓でサッカーのW杯を共同開催した、

2002年の生産量は……。




「134トン!」




と書いても、ピンと来ないと思いますが、

日本における2013年分の10分の1と思ってください。




その10分の1が、養殖技術の発達などにより、

翌2003年にはほぼ10倍の1200トンに。

これだけでも格段に増えたと言えそうですが、

さらに2014年の最新データを見ると……。




「9147トン(うち養殖は8980トン)!」




なんと劇的とも言えるぐらいに増えているのでした。

この数字は中国に続く、世界2位の生産量です。

(とはいえ1位の中国はケタ違いに多いのですが)




まとめると、近年の韓国ではアワビの養殖に大成功し、

高級ではあるもののだいぶ身近になってきたということ。

決して僕が贅沢をしている訳ではないのです。






だから、こんな料理が登場したりするんですよね。



これは済州島の海鮮料理店で食べたヘムルタン。

一般的にヘムルタンといえば海鮮鍋を指すのですが、

ここまで来るとアワビ鍋と言ってもいいぐらいです。




お店の人によれば、




「手づかみで鍋いっぱいに入れる!」




ということで数は決まっていないそうですが、

そういう大盤振る舞いができるのも、

昨今の養殖事情が関係しているように思います。






あるいは、ここ数年で目立ってきたのが、

アワビをトッピングにして高級感を演出する手法。

写真はアワビ入りのサムゲタンですが、

ソウルあたりの専門店でもよく見ませんか?




いかにも贅沢というアピールができますし、

鶏のダシに、アワビのダシまで加わって、

より美味しくなるという利点もあります。






なお、そんな韓国における養殖のアワビは、

その8割を莞島(ワンド)という地域で生産しています。

行政的には南西部の全羅南道(チョルラナムド)に属し、

南海岸に面する島嶼地域が莞島郡を構成します。




一帯の海は多島海海上国立公園として指定されており、

そのために地域の開発は厳しく制限されているのがポイント。

養殖業を営むにはぴったりの環境ということですね。




また、この地域はワカメやコンブの名産地でもあり、

それをエサにして育つからアワビが美味しくなるのだとも。

実際にエサの生コンブを味見してみましたが、




「こんなに美味しいコンブをエサにするなんて!」





と思わず憤慨するほどでした。

けしからん! と拳を握りしめたりも。






まあ、その後にアワビを食べてすぐ撤回するんですけどね。

見てください、この立派なアワビと言ったら。




肉厚なのに柔らかく、その甘味は澄み切って濁りがない。




鮮度のいいアワビって、決して固くないんですよ。

こんなにも見事なアワビを食べられるのなら、

上等なコンブをエサにするのも納得というものでした。




ちなみにこの莞島産アワビは日本でも輸入しています。

もし、身近なスーパーでアワビの特売などがありましたら、

その産地を、ちょっとチェックしてみてください。




韓国産とあれば、上にも書いたように8割の確率で莞島産。

実際はほとんどが莞島でとれたものだそうです。




※筆者注

韓国での生産量は韓国統計庁の漁業生産統計などを元にしました。

日本での資料は漁業・養殖業生産統計によるものです。

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